卓球王国2026年12月号掲載/卓球人の宿命「ネットインとエッジボールを語り尽くす!」

vol.5 村上力 〈桔梗苦羅舞〉
むらかみ・ちから
1949年6月14日生まれ、岩手県出身。1980年全日本選手権混合複優勝、全日本選手権マスターズの部・サーティ2回優勝、全日本ラージボール選手権や全国ラージボール大会で優勝多数
精神面を乱してはいけない。それは単なる「卓球の神様のいたずら」
高いネットと大きいボール、表ソフトでプレーするため、ネットインが多いラージボール。
「ラージの達人」こと村上力が、ラージにおけるネットインとエッジボールを語る。
ラージボールは通常の硬式の卓球よりネットが高く、ボールも大きいためか、ネットインが多い競技です。しかもネットインしたボールが弾んでこないので、返球するのが難しい。
また、ネットインやエッジボールが出ると、試合には2点分の影響を与えることになります。たとえば5−5の場面で相手のボールがエッジで入った場合、それがなければ6−5になっていたかもしれないのに、5−6になってしまう。11点制での2点の差は勝敗を大きく左右します。
しかし、ラージボールにおいて、ネットインで入ってくるボールは「運が悪い」のではなく「当たり前」と捉えるべきです。
そして、返球が難しいネットインのボールでも、2バウンドする前に台との間に2~3㎝の隙間が見えたら、瞬間的にラケットを滑り込ませてなんとか返す。これこそ一流選手の技です。
この時、ボールを目で追っているだけでは間に合いません。相手のボールがネット上部に当たった瞬間に、反射的に前へ出る。これを練習の段階から習慣化させることが非常に重要です。
そして前へ移動しながらラケットのグリップの力を抜き、間に合わないと判断したらグリップの端を握り直します。そうすることで、リーチが2~3㎝伸びるからです。このわずかな差でボールに届き、返球が可能になるのです。日頃の練習からこうした意識を持っていれば、試合での絶体絶命のピンチを救ってくれることがあります。
エッジボールであれば、床に落ちるまでにラケットを差し出し、さらにボールを曲げて返す。これは私の得意技でもあります。ネットインやエッジボールをすぐにあきらめてしまう人は三流です。
1回戦で負けようがどこで負けようが、コートに立った以上は命がけです。だからこそ、命がけでボールを追いかけます。
私にはボールの威力も、スピードもパワーもありません。身長も高くないし、手足も短い。走るのも遅い。だとしたら、あとは根性しかありません。根性でボールを追いかけるしかないのです。ネットインやエッジボールを拾えるかどうかは、まさに気持ちの問題だと思います。
逆に自分が打ったボールがネットインやエッジボールになった時は、相手に謝ることはあっても、「ヨシ!」と声をあげたことは一度もありません。卓球にはスポーツマンシップとマナーがあるため、喜んではいけないと考えています。
試合中に相手のボールがネットインやエッジボールになっても、精神面を乱してはいけません。それは単なる「卓球の神様のいたずら」であり、相手も意図して狙ったわけではないからです。そうした不可抗力のボールに愚痴を言ったり落ち込んだりしていては、勝利はつかめません。「神様にいたずらされたな」と割り切ることが大切です。
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