卓球王国PLUS独占インタビュー〈Afshin Badiee 元イラン卓球協会専務理事 後編〉
「戦争に勝者などいません。誰もが敗者になるのです」──アフシン・バディ(Afshin Badiee)氏はそう語った。
イラン、イスラエル、そしてアメリカを巻き込んだ緊迫する中東情勢の中、イランの選手たちは今もラケットを握り続けている。 入国規制によって飛行機移動すら制限され、卓球用具も高騰。WTTをはじめとする国際大会への参戦も、経済的に困難な状況に追い込まれている。 そうした過酷な環境下で、ノシャド・アラミヤン(Noshad ALAMIYAN)やベンヤミン・ファラジ(Benyamin FARAJI)が卓球を続ける意味は、他の国の選手たちのそれとは明らかに異なっている。

アフシン・バディ
Afshin Badiee
元イラン卓球協会専務理事・元アジア卓球連合事務局長。ATTU普及・開発担当として、アジア各国のジュニア育成キャンプや指導者講習会を統括してきた。世界で活躍中のノシャド・アラミヤンやベンヤミン・ファラジなどのイラン代表選手を幼少期からマネジメントしている。
*上写真は2006年の世界カデットチャレンジ(World Cadet Challenge)より。左がノシャド・アラミヤン、右がアフシン・バディ

アジア競技大会でメダルを獲得したノシャド・アラミヤンはフォアハンド中心の卓球からバックハンド主戦になった
Interview by Noboru Konno
「一番の鍵は何だったのか」と尋ねるのであれば、その鍵とは、このイランの卓球コミュニティを「外の世界」へと繋げたこと
●―素朴な疑問なのですが、イラン以外の中東の国々、例えばサウジアラビアやカタールなどの国もありますよね。ですが現在、中東において飛び抜けて素晴らしい実績を残しているのはイランだけのように思えます。
アフシン はい、イランですね。それと中央アジアのカザフスタンも何人か良い選手を育ててきています。ただ、イランは人口9,000万人を擁する中東最大の国である、という点も大きいです。それに、イランはATTU(アジア卓球連合)創設国16カ国のうちの一つでもあるんです。つまり、私たちには伝統があり、歴史があり、大きな人口を抱えています。そして、才能ある人材がいるのです。
私に「一番の鍵は何だったのか」と尋ねるのであれば、その鍵とは、このイランの卓球コミュニティを「外の世界」へと繋げたことだったのです。外の世界と繋がったことで、こうした才能ある選手たちが成長し、飛躍するための機会を得ることができたのです。
●―なるほど、わかりました。私が覚えているのは、2008年に行った世界ジュニア選手権でのことです。そこでノシャドが、日本の松平健太選手を破り、ベスト8に入りました。松平は前年のチャンピオンでした。
アフシン その通りです。
●― 当時、ノシャドはフォアハンドのドライブが本当に巧みだったのを覚えています。当時、北朝鮮や中国のコーチもイランの選手たちを指導していたと聞きました。
アフシン 中国ではなく北朝鮮ですね。
●―ジュニア時代もノシャドはフランスリーグなどでプレーしていましたか? 彼は今フランスのプロA(1部リーグ)でプレーしていますよね?
アフシン 当時はまだ海外のリーグには参加していませんでした。彼がヨーロッパのリーグに加わったのは、それから数年後のことです。というのも、私が最初に彼をドイツのクラブと契約させたんですよ。
家庭の個人的な事情があって、彼はそのクラブに参加することができませんでした。ですがその数年後、彼はフランスのチームと契約を結びました。そしてここ数年間、彼はフランスに拠点を置いています。最初はプロB(2部)でしたが、現在はプロA(1部)でプレーしています。

アジア競技大会のシングルス準々決勝で張本を破ったノシャド・アラミヤン
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